

シェアキッチン「SUMANOBA」ができた経緯。そして森下代表の展望をインタビュー
森下代表が開いたシェアキッチン「SUMANOBA」。 こちらの施設は、古い連棟住宅をリノベーションし、地域の人や学生に時間単位でシェアキッチンとして開放しています。
シェアキッチン「SUMANOBA」ができた経緯と、今後空家を地域に根差した場にしていきたいという森下代表の展望をインタビューしています。
プロフィール
- 西上正通氏
- 株式会社JKAS
代表取締役
- 森下政人氏
- J K A S
空地空家で”困ったとき”の
あなたの街の相談窓口
代表

左:建物外観、右:階段
西上:ここ(SUMANOBA)は中古物件で売りに出ていたんですか?
森下:今から7年くらい前に、東京の全く知らない不動産屋さんから連絡がありまして、ここの買取をできないかという話があったんです。
一度じゃあ見させてくださいと言った時には、ここは古い居酒屋さんで、おばちゃん1人でやっていて、開いてるかどうかも分からないような状態でした。
相続物件で、(物件の)ご所有者さんは東京に住んでらっしゃって、神戸には戻ってこないので資産の処分をしたい。築年数も分からないこの木造の建物を引き取ってほしいということで、収益物件として引き取ったのが一番初めです。
(居酒屋を営んでいた)ご高齢のお母さんも、コロナもあり「もう飲食やめるわ」とやめられて、(物件が)空いていました。
7年前購入した時は収益物件として購入したのですが、建物はボロボロで、収益で利回り10%も20%もない、もうギリギリのとこで引き取らせてもらいました。

改装前
コロナ以降は空家状態だったので、(物件の)中を見たら、中もボロボロだったので人に貸すにも何らか改修しないといけない状態で、(改修)しようと思ったのですが、正直僕も予算がなかったので、何か方法はないかと設計士さん等に相談したら、行政の空家対策の助成金を使うことができるとのことでした。
その助成金の審査を通らないといけないのですが、単純にリノベーションするだけだったら助成金は出ないんです。
何か地域のために、地域の人たちに開かれているようなものが必要ということを条件につけられたんで、じゃあ普通の飲食店では(助成金が)出ないから、
シェアキッチンということでやってみようということがそもそものスタートです。

改装前
西上:実際、地域のためには何が良いかというところで、シェアキッチンという発想に至った訳ですね
森下:そうですね。ここでシェアキッチンやってみようとなったのは、僕自身がコワーキングスペースを12年ぐらい運営のお手伝いをしていたのもあるし、シェアリングエコノミーというものが、コロナをきっかけに進んでいたということもあります。
シェアオフィスができるんだったら、キッチンもできるだろうということで、知り合いにシェアキッチンをやってる人たちもいたので、そこからいろんな情報をもらってやってみようということで始まりました

改装後
(シェアキッチンを)始めるにあたり、ハード面は不動産屋として、箱(建物)をリノベーションして綺麗になりました。
ソフトをどうやって作っていくのかというところで、じゃあここの運営をするにはどうしたらいいか。シェアキッチンをするにはどうしたらいいかという問題があったのですが、まずは、僕が学生のボランティアをやってたので、各大学にお声をかけた時に、たまたま今回は神戸女子大学さんに繋がり、じゃあ神戸女子大学の皆さんと一緒にカフェの実践をやってみましょうということになりました。
シェアキッチンを、学生さんたちが使ってみてくださいということで、第一号に学生さんたちがカフェをやってくれたという感じです。
西上:なるほど。こうやって実際に、大学生の子たちが使ってくれるようになって嬉しいのではないですか?
森下:嬉しいですね。何が良いって、オープンした時に、学生さん7人と先生といらっしゃったんですけど、その時に神戸新聞さんの取材も来たんですけど、(学生さんたちが)キラキラしてるんですよね。
こんなおっさんが目の前でパン焼いてるのでも全然良いんですけど、あの学生の皆さんが若くて一生懸命頑張っている。
それを大人が見ててもやっぱりキラキラして良いね。頑張ってるね。っていう応援したいっていう気持ちにもなるから、その応援したいという気持ちが多分外で歩いてるお客さんたちにも伝わってるんだと思います。
「一生懸命頑張ってね」というような声を、学生たちは聞いてカフェの運営をやってるから、それはそれで、地域の人と学生たちがつながるコミュニティっていうものがちょっとずつ生まれてきてるのかなとは思います
西上:すごい広がりができそうですね!今回は夏休みの期間中だけだったんですけど、継続すれば周りの人にも知られて広がっていきそうですね
森下:だからもうちょっと頑張ってみようかなっていうのはあります。他にも近くに大学があるので、各大学にも広めていって、「ここは学生たちが集うカフェなんだよ」というような切り口でもうちょっと学生の比率を上げても良いのかなとは思います。
ただそうすると、不動産業としては収益性を圧迫してしまうことになるので、一部はプロのちゃんとした飲食店をやりたいですね。
飲食店を目指したいというスタートアップをしたいです。独立前に店舗持って全部作ってってやると、500〜600万もかかってしまう。そんな負担ができない。でも飲食店をやってみたいという若い人たちにここのシェアキッチンを使ってもらうことによって、自分の腕試しをしてもらいたいです。
それと学生たちが使ってくれるということになると、ちょっと違う切り口のお店ができるし、そこが地域の商店街の皆さんと連携ということになれば、地域の活性化にも繋がるので、今回の空家問題の解決にはなるのかなとは思っています。

改装後
西上:こういう店舗する時はどうしても、初期費用が必ず結構かかるので、それがかからずにできるっていうのはすごいですね。チャレンジもできるでしょうしね。
森下:そのチャレンジをどうやって応援し、背中押してあげられるのかというのが僕ら不動産会社としての一番重要なことだし、もしそれをやらないとなると、街の魅力がなくなってしまいそうな気がします。
将来的にその街の魅力がなくなってしまうということは、僕らの扱ってる不動産自身の価値が減ってしまうということ。
そうすると自分たちも将来的に厳しい思いをするので、そうならないための仕掛けというか、一つのきっかけづくりということで、今回はシェアキッチンは1つの実験の場所でもあると思っています。
この実験をした結果、次また違うお店、違うお店ということができるのか。もしくはここを利用してくれてる人たちとの横のつながりというコミュニティを作ることによってハードじゃなくソフトなところの仕組みというものができたら、それぞれの店舗から共感が生まれてくるんじゃないかなと思います。
共感が生まれることによって利用者が増える。地域の人たちが使ってくれる。
そうすると、価値が上がっていくんじゃないかなとは勝手に思ってます。
そういうのとかできたら良いなって。
不動産屋さんは今まで、貸したら貸しっぱなしという事が多かったと思います。
入居者さんからの電話って大概クレームか退去のお知らせで、できたら取りたくない。だからあんまり連絡をしないんだよって…
これって本当にいいの?と思います。
本来は不動産屋さんというのは、地域に根ざしてみんなの面倒をみるっていうのが本当の仕事だったのに、いつの間にかそれをやらずに、利益だけ利益だけというような形になっている。
今の仕組みっていうのは変えていかないといけないし、もちろん多くのあちらこちら全国で一生懸命やってらっしゃる不動産会社さんもいるんですけども
一部そうじゃない方がいらっしゃる。
そこはちょっと正していかないといけないところかなというふうに思います

神戸女子大学の皆さん
西上:確かにそうですね。森下さんの想いを広げていきたいですね。
森下:そうですね。こんな場をもっと広げていけたらなと思ってます