住宅ローンの支払いが難しくなってきて親子間売買を検討している方はいませんか。
確かに、親子間売買で親族に購入してもらい競売から家を守ることは法律上可能です。
しかし、実際はかなり難易度が高いことも事実です。
今回はそれでも住宅ローンを親子間売却したい方におすすめの手順と注意点について解説します。
□住宅ローンの借り入れ手順とは
親子間売買には何か特別な手続きがあるのではないかと身構えてしまいそうですが、実際は第三者の取引と何も変わりません。
親子間売買は主に8つの手順からなっています。
1つ目は、銀行に事前審査を申し込むことです。
住宅ローンの事前審査とは、重要事項説明や売買契約書締結の前に、いったんローンの借り入れができそうかどうか調べることです。
売買契約を結んでも結局借りられないのであれば、時間の無駄になりますからね。
事前審査は、各金融機関の発行する申込書に必要事項を記入することで申し込めます。
この審査はご本人が金融機関に赴く必要はなく、ほとんどの作業を仲介者の不動産業者が取り持ってくれます。
ただ、費用はかかりませんがご購入者様にご準備いただくものが3つあります。
それは、ご印鑑とご本人様証明書(免許証、パスポートなど)、所得証明資料(源泉徴収票など)の3点です。
これらが揃えばほとんどの方は審査できるのでご安心ください。
2つ目は、重要事項説明書、売買契約書を作成することです。
重要事項説明書には物件などに関する重要事項が記載されています。
また、売買契約書の方には売買する物件をどのような方法で売買するのかが記載されています。
どちらも中身をよく確認した上で署名押印をしましょう。
3つ目は、金融機関に本審査を申し込むことです。
あらかじめ事前審査をパスした金融機関に、ここまでの過程で作成してきた書類を添付して送ります。
この手順では、ご本人様が直接金融機関に申し込む必要があるので注意しましょう。
審査完了には通常、2週間から1ヶ月程度かかります。
4つ目は、銀行と金銭消費貸借契約書を締結することです。
本審査をクリアしたら、金融機関におもむいて、金銭消費貸借契約書を締結します。
この書類には指定の手数料がかかるので準備を忘れないようにしましょう。
5つ目は、銀行から住宅ローン融資実行と売買決済を行うことです。
金銭消費貸借契約書を締結後に早ければ3日から1週間程度で融資が実行できるようになります。
そのため、都合の良い日を決めて売買決済を行いましょう。
このとき、売主、買主、仲介不動産会社、司法書士が借入先の金融機関に勢ぞろいして決済を進めていきます。
ここまで終わって、ようやく銀行から住宅ローンが実行されます。
6つ目は、所有権移転登記、抵当権設定登記をすることです。
ここでは、決済に立ち会った司法書士が各登記手続きをしてくれるので、特にすべきことは何もありません。
ちなみに、所有権移転登記とは売主から買主へ所有権名義を変更することで、抵当権設定登記は住宅ローン借入にともなう担保設定を示す登記になります。
それぞれの書類の意味を念のため頭に入れておきましょう。
7つ目は、税務署から送付されてくるお尋ね書に必要事項を記入して提出することです。
売買完了から数ヶ月(4ヶ月から5ヶ月)が経過すると、税務署からお尋ね書が届きます。
こちらは指示通りに書いて提出するだけなので簡単です。
8つ目は、確定申告をすることです。
売買を終えた年の翌年の確定申告期日(通例2月15日から3月15日まで)に、売買についての確定申告をします。
もし売主に利益が出ていたり買主に贈与税がかかっていたりする場合は、それぞれ譲渡所得税の申告と贈与税の申告が必要になるので忘れないように注意しましょう。
□金融機関が親子間売買に難色を示す理由
金融機関は通常、親子間売買に対しては難色を示すことが多いです。
その理由としては、「親族間における所有権移転の取引は売買ではなく相続や贈与で扱われる」「住宅所得以外の目的で住宅ローンの融資が使用される可能性を含めて考える」といった細かいルールがあるからです。
□親子間売買の注意点とは
親子間売買は比較的難易度が高い方法になるので、自分で金融機関に直接相談したり、融資の申し込みをしたりすることは絶対にやめましょう。
ほぼ100%の確率で断られてしまいます。
万が一申し込みを断られてしまうと、その履歴が個人情報として半年間残ってしまいます。
後々その履歴のせいで取引が不利になってしまうのは非常にもったいないので、必ずこの注意点は守るようにしてください。
□まとめ
ここまで親子間売買について解説してきました。
親子間売買は難易度の高い方法で、注意点も多いです。
ただ、注意する点をきちんと理解していれば、親子間売買ができる可能性は十分にあります。
そのため、親子間売買をご検討中の方は、まず「あなたの街の相談窓口」に相談して可能性を探るところから始めていきましょう。