夫が病気で住宅ローンが払えない!癌やうつ病なら免除?対処法を解説
「病気にかかって住宅ローンが払えないので、対処法が知りたい」
「病気にかかったら、住宅ローンは免除になるのか知りたい」
住宅ローンを返している最中で病気にかかってしまうと、上記のような悩みが出てきます。
病気にかかると、今までのように住宅ローンを返済できなくなり、不安になる方も多いのではないでしょうか。
しかし、病気により住宅ローンが払えない場合でも、対処法はあります。
残りのローン残額によっては全額免除になるケースもあるため、把握しておきましょう。
本記事では、病気にかかり住宅ローンが払えなくなったときの対処法や免除になる条件、病気別の対応を解説します。
本記事を読めば、病気にかかったときの適切な対処法がわかり、住宅ローンについての理解が深まります。
病気によって住宅ローンの支払いに不安を抱えている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
病気で住宅ローンが払えないときの対処法3選
病気にかかってしまうと、住宅ローンの返済が困難になるケースがあります。 何も対策をしなければ、住宅ローンを滞納するだけです。すぐに行動を起こしましょう。病気で住宅ローンが払えないときの対処法は、下記の3つです。
- 各種保険を使用する
- 金融機関へリスケの相談をする
- 任意売却をする
状況によって取るべき対処法は変わるため、それぞれの特徴を把握しておきましょう。
①各種保険を使用する
まずは住宅ローン加入時に契約した保険の、内容を確認しましょう。
条件に当てはまれば、かなりの保険額が支払われたり、残りのローンが全額支払われたりします。保険は直接的にローン返済を手助けしてくれる可能性は高いです。
②金融機関へリスケの相談をする
保険で対応できそうになければ、金融機関へリスケの相談をおすすめします。
この場合のリスケとは、住宅ローンの返済計画を見直し、再度設定し直すことです。
金融機関へ相談すると、一定期間返済額を減額したり、返済期間を延長してもらったりできる場合があります。今後、病気や怪我が治る見込みがあるならば、リスケは有効な手段です。
ただ、住宅ローン滞納後だと、リスケの相談に応じてくれないケースもあります。
住宅ローンの返済が苦しいと思ったら、すぐに金融機関へ相談しましょう。
③任意売却をする
リスケでも対応できなかったり、病気や怪我が長引きそうだったりする場合は、家の売却を検討しましょう。
家を売却すれば、住宅ローンが払えないという根本の問題は解決します。家の売却ができるケースは、売却価格が住宅ローン残高を上回る場合です。
売却価格が住宅ローン残高を下回る場合は、売却価格で住宅ローンの完済ができないため、売却は認められません。
しかし、金融機関に合意を得れば「任意売却」による家の売却が可能です。
任意売却の場合は、不動産会社がローン返済者と金融機関の間に入り、交渉してくれます。
任意売却は経験のある不動産会社に依頼しましょう。
病気で住宅ローンが払えないときに使える保険5選
病気にかかり住宅ローンが払えなくなったら、まずは保険が使えるか確認しましょう。しかし、保険にはさまざまな種類があり、どれが使える保険か判断するのは困難です。
住宅ローンが払えなくなったときに使える下記5つの保険を、特徴とともに解説します。
自身が使える保険があるか、確認してみましょう。
名称 | 適用条件 |
団体信用生命保険 | 死亡または高度障害(重度の障害) |
住宅ローン系保険 | 特定の病気や怪我 |
労災保険 | 業務に起因する病気や怪我 |
健康保険 | 病気や怪我で働けなくなった |
医療保険 | 病院への入院や通院 |
団体信用生命保険
団体信用生命保険は、銀行で住宅ローンを借りるときに加入が義務付けられている保険です。
住宅ローンの契約者が死亡、または高度障害(重度の障害)になったとき、ローン返済が不要になります。
しかし、住宅ローンを滞納している方は注意が必要です。
住宅ローンを3~6カ月滞納すると、代位弁済通知が来て、団体信用生命保険は解約されてしまいます。
病気で住宅ローンを払えないと判断したら、迅速に団体信用生命保険を確認しましょう。
住宅ローン系保険
死亡や高度障害に当てはまらない場合は、住宅ローン系保険を確認しましょう。主な住宅ローン系保険は下記の2つです。
- 住宅ローン疾病保障保険
- 住宅ローン返済支援保険
加入は任意のため、全員が入っている保険ではありません。
しかし、団体信用生命保険ではカバーできない病気や怪我でも、保険金が出る可能性があります。
住宅ローン疾病保障保険では、金融機関によってさまざまな種類があります。
主な種類は下記の3つです。
- 3大疾病保障:癌(ガン)、急性心筋梗塞、脳卒中
- 5大疾病保障:3大疾病+高血圧症、糖尿病
- 8大疾病保障:5大疾病+慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎
かかった病気が自身の加入している保険に該当していれば、ローン返済は不要になります。
住宅ローン返済支援保険は、病気や怪我で30日以上の療養が必要になった場合、毎月の住宅ローンの一部をカバーしてくれます。入院だけではなく、自宅療養も対象です。
労災保険
病気や怪我が業務に起因するものであった場合、労災保険の保障を受けられる可能性が高いです。労災保険が適用されると、給料の約8割の保障を受けられます。
保障のみならず、治療費も労災保険で負担可能です。
労災保険は労働基準監督署に申請をしないと受け取れません。
住宅ローンの返済が厳しく、労災保険が使えそうならば早めに請求しましょう。
健康保険
労災保険が使えなくても、健康保険が使える可能性があります。病気や怪我で働けなくなった場合、傷病手当金の受給が可能です。
期間は最長1年半で、金額は給料の2/3程度が補填されます。
ただ、傷病手当金が給付されるのは、会社員や公務員の方が加入する「健康保険」のみです。
自営業やフリーランスの方が加入する「国民健康保険」では傷病手当金は受給できません。
申請先は健康保険組合や協会健康保険組合です。
医療保険
病気になって入院や通院をすると、医療保険が使える可能性があります。医療保険は、一時金や入院1日につきいくらなどの形で給付金の受給が可能です。
健康保険は、団体信用生命保険や労災保険ほど給付条件は厳しくありません。
上記の保険にすべて当てはまらなかった場合も、健康保険であれば使える可能性があります。
病気で住宅ローンが払えないときに金融機関へ相談すべきこと
病気にかかり住宅ローンの支払いが困難になった場合、一度金融機関への相談をおすすめします。金融機関へ相談できることは、主に下記の2つです。
- 一定期間返済額を減らしてもらえないか
- 返済期間を延ばしてもらえないか
一定期間返済額を減らしてもらえないか
銀行と協議し、一定期間返済額を減らしてもらう方法です。 減らした分の金額は後日負担します。返済期間を延ばすより、利息負担が少なく済むのがメリットです。
ただ、一定期間は負担額が減りますが、その後の負担は現在よりも重くなります。
そのため、病気や怪我が治る見通しが立ちそうなときに適した方法です。
返済期間を延ばしてもらえないか
住宅ローンの返済期間を延長してもらうこともできます。一度決めた返済期間は変更できないと思われがちですが、そうではありません。
基本的には、どこの銀行でも返済期間の延長は対応してもらえます。
返済期間を延長できれば、月々の支払額が減るため、返済負担が軽くなります。
住宅ローンの返済が苦しいと感じたら、返済期間の延長の相談がおすすめです。
病気で住宅ローンが払えない時にする任意売却の6ステップ
病気で住宅ローンが払えないときは、まず保険が使えないかの確認と金融機関へリスケの相談をします。
それでも解決しそうにない場合は、任意売却を検討しましょう。
任意売却は家を手放さなければいけません。しかし「住宅ローンが払えない」という根本の問題は解決するため、有効な手段といえます。
任意売却の手順は下記6ステップです。
- 相談
- 不動産価格を査定
- 債権者と交渉
- 販売活動を開始
- 売買契約を締結
- 売買代金を清算
相談
まずは、可能な限り早く不動産会社などへ相談しましょう。相談自体は無料で行ってくれるケースが多いです。
相談者の状況によって最善の解決方法は異なるため、相談時にはローンや債務の状況などを聞かれます。嘘をついても良いことはないため、正直に答えましょう。
基本的には不動産会社に足を運びますが、いきなり相談に行くのは不安な方もいます。
また、悪質な不動産会社を選んでしまうと損をしてしまうケースも多いです。
そんな方は「住宅ローンに困ったときのあなたの街の相談窓口」をご利用ください。
住宅ローンの専門家が、相談者の状況を踏まえて無料でアドバイスします。
ご相談は何度でも無料です。まずは、お気軽にお問い合わせください。
不動産価格を査定
相談の次は、不動産価格の査定です。
実際に家がどのくらいの値段で売れるのか、価格を出してもらいます。不動産価格の査定は重要なステップです。価格査定を誤ってしまうと、販売ができず競売になってしまったり、ローン残債が必要以上に残ってしまったりします。
そのため、適切な価格査定が必要です。
損をしないためにも査定額の根拠を聞き、納得がいくまで説明してもらいましょう。
債権者と交渉
不動産価格の査定が終わったら、債権者との交渉です。
上記の場合の債権者とは、住宅ローンを組んでいる金融機関を指し、不動産会社が交渉してくれます。相談内容は、売却価格や売却方法の調整、ローン残額の返済方法です。
ポイントは、任意売却の経験がある不動産会社に頼むことです。
任意売却は通常の不動産売却と違い特殊な方法のため、任意売却の経験がない不動産会社も存在します。
任意売却の経験がないと、債権者に納得してもらえなかったり、売却ができなかったりする可能性があります。
不動産会社は慎重に選びましょう。
販売活動を開始
債権者に納得してもらえたら、販売活動に入ります。
実際に購入希望者を探すステップです。
販売活動は価格を最優先にする場合、時間を最優先にする場合など、相談者の状況によって最適な方法は変わります。
任意売却は多くの場合、家に住みながら販売活動を行うことになります。購入希望者が内見に来るときは入念に掃除し、良い印象を持ってもらえるように対応も気をつけましょう。
売買契約を締結
購入者が決まれば売買契約を締結します。 必要な書類は不動産会社が準備してくれることが多いです。売買契約では、債権者との細かい条件のすり合わせが必要です。
スムーズに引き渡すために、取り決め事項は明確にしておきましょう。
売買代金を清算
売買契約を締結したら、最後に売買代金の清算です。決済日には下記の人が集まり、代金の清算と権利書などの書類の引き渡しを行います。
- 相談者
- 買主
- 債権者
- 司法書士
- 買主が住宅ローンを組む金融機関
ここまで終わったら任意売却は終了です。
一般的に、任意売却には約3カ月~6カ月かかります。
相談をしてから時間がかかるため、なるべく早く行動を起こしましょう。
払わなくてよくなる?病気で住宅ローンが免除される2つのケース
病気にかかって住宅ローンが払えなくなった場合、支払いが免除されるケースは主に2つあります。
主に住宅ローンが免除されるケースは、下記の2つです。
- 団体信用生命保険の高度障害に該当している
- 住宅ローン疾病保障保険に該当する病気にかかっている
団体信用生命保険の高度障害に該当している
住宅ローンを組むときに、団体信用生命保険への加入が義務付けられています。
団体信用生命保険には高度障害が規定されており、高度障害に該当すれば住宅ローンが免除されます。高度障害に当てはまるのは、下記の8つの状態です。
- 両眼の視力を全く永久に失ったもの
- 言語またはそしゃくの機能を全く永久に失ったもの(注1)
- 中枢神経系または精神に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの(注2)
- 胸腹部臓器に著しい傷害を残し、終身常に介護を要するもの(注2)
- 両上肢とも、手関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
- 両下肢とも、足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
- 一上肢を手関節以上で失い、かつ、一下肢を足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
- 一上肢の用を全く永久に失い、かつ、一下肢を足関節以上で失ったもの
(注1) 「そしゃくの機能を全く永久に失ったもの」とは、流動食以外のものは摂取できない状態で、その回復の見込みのない場合をいいます。
(注2) 「常に介護を要するもの」とは、食物の摂取、排便・排尿・その後始末、及び衣服着脱・起居・歩行・入浴のいずれもが自分ではできず、常に他人の介護を要する状態をいいます。
住宅ローン疾病保障保険に該当する病気にかかっている
住宅ローン疾病保障保険に該当する病気にかかっている場合も、住宅ローンが免除になります。住宅ローン疾病保障保険はいくつか種類がありますが、主なものは下記の3つです。
- 3大疾病保障:癌(ガン)、急性心筋梗塞、脳卒中
- 5大疾病保障:3大疾病+高血圧症、糖尿病
- 8大疾病保障:5大疾病+慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎
住宅ローン疾病保障保険は、団体信用生命保険の高度障害より該当する病気が多く、住宅ローンが免除になる可能性が高いです。
5大疾病保障には生活習慣病の一つである「糖尿病」も入っています。
夫が病気で働けず住宅ローンが払えないときの対処法
夫が働けなくなってしまい、住宅ローンの返済が厳しくなる方が一定数います。
また今は大丈夫でも、夫がいつ病気になって働けなくなるか分かりません。
万が一、夫が病気で働けなくなった場合の対処法を知っておきましょう。
夫が働けず、住宅ローンの返済が滞ってしまうと、連帯債務者や連帯保証人に支払い義務が移ります。奥さんが連帯債務者や連帯保証人になっている場合も多いため、必ず確認しておきましょう。
連帯債務者や連帯保証人には一括返済を求められます。
一括返済が不可能な場合、住宅を差し押さえられるのが一般的です。
対処法としては、主に下記の3つが挙げられます。
- 各種保険が適用できるか確認
- 金融機関へリスケ相談
- 任意売却
団体信用生命保険の高度障害や住宅ローン疾病保障保険に該当する病気にかかっている場合は、住宅ローンの返済が免除される可能性があります。
労災保険や医療保険で一部保険金が下りる可能性もあるため、確認してみましょう。
【病気別】住宅ローンが払えないときの対応
病気にも種類があり、かかった病気ごとに対応は異なります。しかし、病気ごとにどのような対応をすればいいかは、なかなか判断がつきません。
よくある下記2つの病気にかかったときの対応を解説します。
- 癌(ガン)
- うつ病
癌(ガン)の場合
癌(ガン)にかかった場合は、まず団体信用生命保険を確認してみましょう。癌(ガン)は高度障害ではありませんが、3大疾病や7大疾病などの特約を付けている場合は、補償を受けられる可能性があります。
主な特約は下記の通りです。
- 3大疾病:癌(ガン)、心筋梗塞、脳卒中
- 7大疾病:3大疾病+腎不全、糖尿病、肝硬変、高血圧
- 8大疾病:7大疾病+慢性膵炎
- 9大疾病:8大疾病+ウイルス肝炎
団体信用生命保険に特約が付いていなくても、住宅ローン疾病保障保険や住宅ローン返済支援保険に該当するケースがあります。
うつ病の場合
残念ながらうつ病の場合、住宅ローンが免除になることはありません。金融機関にリスケの相談をしたり、各種制度(傷病手当や就業不能保険など)を使ったりして、負担を減らすのが一般的です。
それでもダメな場合は、任意売却を検討しましょう。
まとめ:病気で住宅ローンが払えないときは相談しましょう
病気で住宅ローンが払えないときの主な対処法は下記の3つです。
- 各種保険を使用する
- 金融機関へリスケの相談をする
- 任意売却をする
各自の状況で適切な対処法は異なります。
本記事でそれぞれの特徴を理解し、自身に最適な対処法を選びましょう。
しかし、どの対処法が合っているかを判断するのは簡単ではありません。住宅ローンについて詳しい知識を持っていない方の中には、不安に思う方も多いのではないでしょうか。
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