住宅ローンの滞納から差し押さえまでの流れ|差し押さえを回避する方法も解説
「子供の養育費が想定していた以上にかさんでしまった」「病気や親の介護費で急な出費がかさんでしまった」など、住宅ローンの支払いが困難になるタイミングがあります。
滞納してしまった後の流れが気になり、不安になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。また、滞納したまま支払いに復帰できず、督促状が届き、どうしたらいいか分からず困っている方もいるでしょう。
滞納したまま何もせずにいると、物件を差し押さえられて、競売にかけられます。本記事では、滞納後の差し押さえになるまでの流れと、差し押さえを回避する方法を詳しくまとめました。住宅ローンの返済に悩んでいる方は最後まで読んでください。
目次
差し押さえとは?住宅ローンを滞納すると退去になる?
差し押さえとは、裁判所が債権者の申し立てに基づき、債務者の財産の事実上・法律上の処分をすることです。「住宅ローンを滞納すると、家を差し押さえられて最後は競売にかけられ退去になってしまうのでは?」と心配する人もいるでしょう。
すぐに差し押さえられ、家を競売にかけられるわけではないので安心してください。 差し押さえに至るまでの段階を、以下で説明します。住宅ローンの滞納から差し押さえまでの期間と流れ
住宅ローンの滞納から差し押さえまでの流れは下記のとおりです。
滞納期間 | 概要 |
1~3ヶ月 | 債権者である銀行から催促の電話がある・催告書と督促状が届く |
3~4ヶ月 | 期限の利益喪失の施行される |
4~5ヶ月 | 保証会社が金融機関にローンの代位弁済を行う・抵当権の設定など、「不動産の担保価値を下げる処分行為」ができなくなる。 |
6~9ヶ月 | 住宅を差し押さえられ、競売への準備が始まる。 |
9~12ヶ月 |
競売への準備として、裁判所の執行官と不動産鑑定士2名による住宅の現況調査が行われる。 裁判所が現況調査報告書を基に、競売のスケジュールや売却価格を決める。 |
12~16ヶ月 |
「期間入札決定通知書」が届く。 入札が始まると、不動産購入希望者は裁判所に買受の申込みができる。 |
16ヶ月 |
入札期間中に、最高入札額を示した落札者が不動産の買受人となる。 買受人が決まったら、期日までの強制退去が要求される。 |
しかし、返済を滞納すると「期限の利益喪失の施行」と「保証会社の代位弁済」に進み、最終的には物件が競売にかけられる事態になります。
以下の記事では、差し押さえまでの流れと対策方法を解説しています。住宅ローンの差し押さえについてもっと詳しく知りたい人は、「住宅ローンを滞納したらどうなる?差し押さえまでの流れと防ぐ方法」をご覧ください。
住宅ローンの滞納で差し押さえの対象になる6つのもの
差し押さえといっても、具体的に何を差し押さえられてしまうのか、イメージが付きにくいのではないでしょうか。差し押さえの対象となるのは、原則として支払義務を負っている債務者自身の財産です。
これは大きく以下6つに分類されます。
- 給料
- 預金
- 現金
- 有価証券
- 車
- 骨董品や貴金属
しかし、差し押さえは現金に替えることを目的として行われるため、上記6つの中でも経済的価値の低い財産は対象にならないケースもあります。差し押さえに不安がある人は、一つずつ目を通して確認してみましょう。順番に解説します。
給料
勤務先の会社に対して、裁判所が「債権差押命令」を送達した際に差し押さえが開始されます。 それ以降、会社は差し押さえ部分を差し引いた給与を支払う必要があります。月給だけでなく、ボーナスや退職金も差し押さえの対象です。しかし、全額が差し押えられてしまうわけではなく、差押えには上限が設けられています。
具体的に差押えが可能な範囲は、原則として手取りの4分の1までです。ただし、月給やボーナスの場合、手取り金額が44万円を超える場合には、33万円を超える部分全ての差し押さえが可能となっています。
預金
銀行への債権差押命令の送達時の預金が、差し押さえの対象となります。 そのため、債権差押命令の送達以降に入金されたお金であれば、差押命令の対象から外れ、引き出すことが可能です。しかし、債権の回収が終わるまで、債権者が預金差し押さえをくり返し行う可能性があるので、注意しましょう。
現金
現金も差し押さえの対象となります。 ただし、差押禁止動産として債務者の生活や仕事、福祉等を保護する観点から一定以下の差し押さえは禁止されています。具体的には「標準的な世帯の二月間の必要生計費を勘案して政令で定める額の金銭」と定められており、66万円を越えた分の現金は差し押さえられますが、それ以下は差し押さえられません。
有価証券
有価証券は動産執行の対象範囲なので、差し押さえられてしまいます。 裏書の禁止されていない有価証券(手形・小切手など)が差し押さえの対象です。差し押さえの対象になる国税の額にかかわらず、有価証券の券面金額の全額が差し押さえの対象となります。有価証券を差し押さえられた場合、差し押さえにかかわる滞納者の国税の納税義務は消滅します。
車
車も差し押さえの対象となります。 ただし、車も現金同様に差押禁止動産として規定が定められており 債務者などの生活に欠くことができない場合は、差し押さえの対象外となります。例えば、仕事で車を使用しているような場合です。公共交通機関があまり充実していない地域で、車がないと生活が困難な場合にも、差し押さえの対象外になることがあります。
車の場合には、売却の際の査定額が20万円以上なら、差し押さえ対象になります。そのため、古い車は差し押さえの対象外となるケースが多いです。
骨とう品や貴金属
骨とう品や貴金属は、最低限の生活や仕事に影響がないため、差し押さえ可能な財産として扱われます。 滞納者と生計を一にする者の骨董品や貴金属も同様に扱われ、差し押さえの対象となります。住宅ローン滞納による差し押さえを防ぐ4つの方法
住宅ローンを滞納しながらも、今の家に住み続けたい人もいるのではないでしょうか。住宅ローンを滞納してしまっても、差し押さえを防ぎ家に住み続ける方法があります。
差し押さえを防ぎたい人は、次の4つの手段を確認しましょう。
- 住宅ローンのリスケジュール
- 個人民事再生
- 親子間売買
- リースバック
それでは、順番に解説していきます。
住宅ローンのリスケジュール
住宅ローンの返済が厳しくなったときや返済が困難になりそうなとき、金融機関に返済条件の変更に関する相談ができます。 これを住宅ローンのリスケジュールといいます。相談できる方法は、次の3つです。
- 返済期間を延長し、返済額を減らす方法
- 一定期間、元金を据え置き利息のみを支払う方法
- ボーナス併用払いから、毎月の返済に変更する方法
金融機関とリスケジュールの交渉を考えている人は、次の3つを準備しておきましょう。
- 返済計画の変更が必要な理由
- 現在の返済状況と今後の返済計画
- 返済状況を変更することにより、返済が可能になる根拠
リスケジュールは、一時的な減給やボーナスカットであれば有効な方法です。しかし将来的に収支を改善できない場合、支払いを後回しにするだけの行為となるので、無理な返済計画を立てないことが大事です。
また、最初は他の人には任せず、自分で金融機関に相談してください。代理人がいきなり電話をすると、返済条件䛾変更が困難になる懸念があるためです。
個人民事再生
個人民事再生とは、債務額が大幅に減額され原則3年で返済可能になる制度です。この制度は、住宅ローンを除く債務額の総額が 5000 万円以下の個人債務者で、収入に応じて支払える額を3年間(特別な事情の場合5年)で返済する計画を立て、裁判所に申し立てを行います。
借金は最大で5分の1程度(最高100万円)まで圧縮されます。3年の間に再生計画通りに返済できたら、残りの借金が免除される手続きです。
個人民事再生には2種類あります。
- 小規模個人再生
- 給与所得者等再生
どちらの手続きでも、住宅資金特別条項というオプションを活用して、裁判所に申し立てられます。この制度を活用することで、マイホームを維持したまま債務整理が可能です。
裁判所から再生計画が認可されると、保証会社から代位弁済された債務は元の金融機関に戻ります。その後、従来通りに住宅ローンを返済していく流れとなります。
親子間売買
親子間売買とは、親子間で不動産(主にマイホーム)を売買することです。 親子間売買をした後に、そのまま元の所有者がそのマイホームに住み続けることから、セール(売却)&リースバック(借り戻し)ともいいます。競売になってしまうと、購入者には引渡命令が下るため、前所有者の立ち退きを比較的簡単に強制執行できます。そのため、競売になると親子間売買の実施は難しいです。親子間売買を検討する人は、競売になる前に意思決定をしましょう。
また、親子間売買では下記の懸念があるため、注意が必要です。
- 融資をしてくれる銀行が少ない
- 親の家を買い取った息子は自身のローンを組み辛くなる
- 親子間トラブルをめぐる詐欺などのトラブルに遭遇するリスクが高くなる
リースバック
不動産を売却した相手と賃貸借契約を結び、任意売却後も家に住み続けることができる契約をリースバックと言います。 住宅ローンの残債、不動産評価額、賃貸借契約後の支払い能力などにより、条件に違いがある場合がありますが、一般的には次のような流れで実行されます。- 不動産の売却をする
- 売却金で債権者に残積を支払って返済する
- 購入者と賃借契約
- 購入者への家賃の支払いを開始する
リースバックには、引っ越しや物件管理の手間、費用が不要といったメリットがあります。また、将来買い戻すという交渉もできるのが、大きなメリットです。
住宅ローンの支払い負担を軽減する2つの方法
住宅ローンの支払いは長期にわたるため、支払いが困難になるときもあります。以下では、住宅ローンの支払い負担を軽減する方法を解説します。
返済額の軽減申請をする
返済額の軽減申請をすると、住宅ローンの支払額を引き下げてもらえます。 銀行と協議し、認められた一定の期間だけ支払額を引き下げ、その後元に戻す(軽減分は後日負担する)形式の手段です。返済の期間延長よりも総合的な利息負担の金額が少なくて済むメリットがあります。一方、負担額が軽減するのは一定期間だけで、その後の負担は軽減分の利子と利息の支払いが加わり、現在よりも重くなります。
将来の見通しがはっきりしている場合には、適しているといえる手段です。
返済期間の延長申請をする
基本的に、どこの銀行でも返済期間の延長に対応してもらえます。 返済期間の延長は、いくつか条件を満たせば交渉は通ります。条件は銀行により異なりますが、大前提は新規申し込みをした時と条件が変わっていないことです。審査の際に「職場が変わり、給料の額面も変わった」などあれば、延長が認められない可能性もあることは、留意しておいた方がよいでしょう。
住宅ローンの延長を希望する人は、以下の手順で進めてください。
- 現在利用中の銀行に延長の意思を伝える
- 返済期間を延長するために必要な申請書をもらう
- 申請書に記名・捺印して提出する
- 審査結果の通知を待つ
- 返済期間変更(契約内容変更)の締結
返済期間を延長すると、延長した分の金利の支払いがかさみ、当初の予定より多くの負担が発生します。しかし、破産するよりは良いでしょう。少しでも返済が厳しいと思ったのであれば、返済期間の延長をしましょう。
住宅ローンの返済ができない場合は任意売却の検討をするべき理由
住宅ローンの返済ができない場合は、任意売却を検討しましょう。理由は2つあります。
- 競売よりも、高い価格で販売できる
- 分割返済の相談に応じてもらえることもある
任意売却を進めたい人は、早めに相談することが大事です。それは次の2つの理由があるからです。
- 競売の入札が開始された後では難しくなる
- 任意売却は、競売開始前に行う必要があるため、妥当な売却価格かどうかなどを考慮するには、十分な期間が必要
競売も任意売却も、住宅ローンの返済ができない状態で不動産を売却するという目的は同じです。しかし本記事では、任意売却をおすすめしています。
競売にかけられた後、住宅ローンの残債はどうなる?
競売の売却益をすべて住宅ローンの返済に充てても、残債が残るケースがあります。 競売後も住宅ローンの残債の返済は免除されないため、基本的には返済を続けなければなりません。一方で、以下2つの方法で返済義務をなくすこともできます。
- 時効の援用で返済義務をなくす
- 自己破産をして返済義務をなくす
住宅ローンの残債には、時効が存在します。これは債権者が督促の手続きをしていない返済に関しては、権利が消滅してしまうということです。
銀行やノンバンクなどの株式会社は5年、住宅融資支援機構や信金、労金、農協などの特別法で規定されてる機関は10年に設定されていることがほとんどです。
もしあなたの支払い残積に5〜10年の間督促が届いていない場合は、時効の条件を金融機関に確認しましょう。時効の援用を望む人は、内容証明郵便を用いて時効援用通知を債権者へ送付してください。
残債をどうしても返済できない場合は、自己破産を検討しましょう。自己破産をすると、住宅ローンの残債は免責となり、返済義務はなくなります。
しかし、自己破産には以下のデメリットがあります。
- 連帯保証人に返済義務が移行する
- 税金の納税義務はなくならない
- 個人の信用に大きな傷が付く
- 数年はローンが組めない
- クレジットカードの利用ができない
デメリットが多いため、自己破産は最終手段にしましょう。
まとめ:住宅ローンの滞納で差し押さえが不安なら、まずはJKASにご相談ください
住宅ローンを滞納しても、すぐに差し押さえられるわけではありません。差し押さえになるまでには期間があります。
差し押さえを回避するためには、次の4つの手段を検討しましょう。
- 住宅ローンのリスケジュール
- 個人民事再生
- 親子間売買
- リースバック
差し押さえになる前に、金融機関に住宅ローンの返済に関する相談をしましょう。返済期間の延長や一時的な支払い負担の軽減ができます。差し押さえになった場合は、任意売却がおすすめです。
金融機関への相談に不安がある人は、ぜひJKASにご相談ください。住宅ローン返済支援エージェントが、あなたの状況に応じた解決方法を、無料でアドバイスします。