自己破産の手続き費用の相場は?安く抑える5つの方法を解説
自己破産の手続き費用は、思っているより高額です。そのため、「自己破産の手続きを行いたいけれど、手続きに必要な費用も払えるか怪しい」と考えている方もいるのではないでしょうか。
ただ、費用を安くするために安易に自分で自己破産の手続きを行うと、かえって高額になってしまうケースがあります。正しい方法を知り、適切に手続き費用を抑えましょう。
本記事では、自己破産の手続きにかかる費用相場や、自己破産手続きを安く抑える方法を紹介します。自己破産のやり方も紹介しているので、自己破産を検討している方は最後までご覧ください。
目次
自己破産の手続きにかかる費用相場
自己破産の費用には「裁判所費用」と「弁護士費用」の2種類があります。 自己破産の裁判所費用は約3万円〜50万円、弁護士費用は約30万円〜50万円が一般的な相場です。
また、裁判所や弁護士事務所に訪問する場合、手続き費用とは別に交通費が必要になります。自己破産にも安くないお金が必要なことを覚えておきましょう。
自己破産手続きで裁判所に払う4つの費用
自己破産手続き費用の内訳は、下記のとおりです。
手続き費用の内訳 | おおよその手続き費用 |
申立手数料(収入印紙代) | 1,500円 |
予納郵券代 | 約3,000円~5,000円 |
官報公告費 | 約10,000円~20,000円 |
予納金 | 0円~20万円 |
手続き費用は後述する自己破産の種類や裁判所によって異なるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
申立手数料(収入印紙代)
申立手数料(収入印紙代)とは、自己破産手続きを行う際に必ず発生する手数料です。 申立手数料は2種類存在します。それぞれ自己破産手続きの申立手数料として1,000円、免責手続きの申立手数料として500円の納金が必要です。収入印紙はコンビニ・裁判所の売店・法務局・郵便局で購入できます。訴状や申立書に貼付して納めましょう。
予納郵券代
予納郵券代とは、自己破産申立人に向けて裁判所が送付する書類の郵券代(切手代)です。 自己破産手続きが進むごとに、呼出状や債権者集会の資料など、多くの書類が申立人に送付されます。書類を送付するたびに郵券代を納付させると、時間と手間が必要以上にかかるため、支払いは自己破産申し立て時に行います。予納郵券代は裁判所によって異なりますが、約3,000円から〜5,000円が相場です。
官報公告費
自己破産手続きを行うと国が発行している官報に公告されます。 この官報に公告する際に必要な費用が官報公告費です。
自己破産手続き時に「破産手続開始決定」と「免責許可決定」の官報公告費を納付します。約10,000円~20,000円が相場ですが、裁判所によって官報公告費の値段が異なるため、あらかじめ確認しておきましょう。
予納金
予納金とは裁判所によって選任された弁護士に対して、業務の遂行に伴って支払われる報酬金です。 予納金は自己破産の種類によって大きく金額が変動するため、自己破産の種類を確認しておきましょう。自己破産の種類 | 概要 |
同時廃止事件 |
処分するほどの財産を保持しておらず、 浪費による借金ではない場合に分類される |
管財事件 |
一定以上の財産(20万円相当)を保持しており、 浪費による借金が疑われる場合に分類される |
少額管財事件 |
一定以上の財産(20万円相当)以外に換価できる財産が少なく、 浪費による借金が疑われる場合に分類される |
同時廃止事件の場合、財産調査や現金化を行う必要がないため、予納金の支払いが免除されます。一方で、管財事件や少額管財事件の場合、予納金に充てられる財産を保持しているため、予納金の納付が必要です。
管財事件の場合は、裁判所が借金総額を基にした予納金が規定されています。自己破産の申立を行う裁判所のホームページなどを確認し、おおよその予納金額を調べておきましょう。
多額の財産を保持していない場合は少額管財事件に分類されます。裁判所によって予納金の費用は異なりますが、約20万円が相場です。
自己破産手続きで弁護士に払う3つの費用
自己破産手続きでは弁護士への依頼料も一緒に支払うことが一般的です。弁護士事務所によって依頼料には差がありますが、一般的な相場や手続きは下記3つです。
弁護士への依頼料内訳 | 費用相場 |
相談料 |
0円~1万円 (時間によって変動する可能性あり) |
着手金 | 約30万円~ |
成功報酬 | 約20万円~ |
相談料
自己破産手続きは、法律を基にして行われるため、弁護士に相談して進める方法が一般的です。 弁護士への相談費用は、1時間当たり1万円かかるケースが多いですが、法律事務所によっては無料で相談できます。
自己破産手続きの前に、ホームページで費用の目安を確認してからの相談をおすすめします。
着手金
自己破産手続きを本格的に開始するときは、着手金を弁護士に支払います。着手金は、自己破産手続きの成功可否に関わらず発生する費用です。弁護士事務所によっては着手金を安く設定している場合があります。
また、成功報酬を受け取らない代わりに着手金を高く設定している事務所もあります。そのため、 着手金の費用相場は30万円~50万円程度が相場です。 着手金については、自己破産の相談を行った際に併せて確認しておきましょう。
成功報酬
自己破産手続きが完了した際に支払う費用は成功報酬と呼ばれ、相場は約20万円以上が一般的です。 自己破産の種類によっては依頼弁護士が対応する期間が長くなるため、費用が高額になるケースがあります。また、成功報酬を受け取っていない弁護士事務所も存在し、着手金の支払いだけで済むケースがあります。成功報酬の費用について、自己破産の相談の際に併せて確認しておくとよいでしょう。
自己破産手続きのやり方
自己破産手続きのやり方は、自己破産の種類によって期間や進め方が異なります。
自己破産の種類 | 自己破産手続き完了までの期間 |
同時廃止事件 | 約3~4ヶ月 |
管財事件 | 約6~12ヶ月 |
少額管財事件 | 約4~6ヶ月 |
種類ごとの手続き方法については「自己破産のやり方3選!流れや必要な費用・書類を分かりやすく解説」で詳しく解説しております。併せてご覧ください。
自己破産の手続き費用が払えないときに安く抑える5つの方法
自己破産手続きの費用が払えないときも、諦める必要はありません。自己破産の手続き費用を安く抑える方法は5つあります。
- JKASへ相談する
- 分割支払いができるか弁護士に相談する
- 司法書士に依頼する
- 法テラスに相談する
- 自分で自己破産の手続きを進める
自己破産の手続き費用として裁判所に支払う金額は安くできないため、弁護士への依頼料を安くするのが基本です。手続き費用を安くする方法を知り、自己破産手続きができるようにしましょう。
JKASへ相談する
JKASへ相談すれば、自己破産手続き費用を安く抑えられます。 JKASでは、無料で自己破産手続きの相談が可能です。
全国に59ヶ所の相談窓口(2022年6月10日時点)があり、何度でも無料で相談できるため、交通費や相談料を削減できます。自己破産の決断は、さまざまな不安な要素があるため何度でも相談できるJKASは非常に心強い存在だといえるでしょう。
自己破産手続きの悩みを解消したい人は、JKASに相談してみましょう。
分割支払いができるか弁護士に相談する
自己破産手続きの弁護士費用を分割払いにできるケースがあります。 分割払いにできれば、1回で支払う費用を安く抑えられるでしょう。また、予納金の積み立てサービスをしている弁護士事務所もあります。積立が完了してから自己破産手続きを開始可能です。
分割払いでは支払い総額こそ変わりませんが、1回ごとの費用負担を抑えられます。分割払いに対応しているか確認しておきましょう。
司法書士に依頼する
司法書士に依頼すると自己破産手続きにかかる費用を抑えられる可能性があります。 司法書士は弁護士と違って自己破産手続きの代理権が存在しないため、文書作成業務のみの対応です。弁護士に比べて対応業務の幅が狭いため、弁護士より安い依頼料で頼める可能性があります。しかし、管財事件と少額管財事件の判断が難しい場合、弁護士によっては少額管財事件にしてくれるケースがあります。司法書士の場合は権限がないため、このような対応はできません。
費用を安くすることに焦点を置いた場合の選択肢として、覚えておきましょう。
法テラスに相談する
各地に存在する司法支援センター「法テラス」に相談すると、弁護士費用が抑えられる可能性があります。 法テラスは3回までなら無料相談を行え、場合によっては弁護士費用や予納金の免除が可能です。一方で法テラスの利用には一定基準以下の収入である必要があり、家族や配偶者に収入があると審査が通りません。生活保護受給者のように生活に困っている人は、法テラスの利用を検討しましょう。
自分で自己破産の手続きを進める
自分で自己破産の手続きを進めた場合、弁護士費用は必要ありません。 しかし、自己破産手続きは法律に基づいて手続きが進められるため、債権者との交渉や膨大な書類に対応する必要があります。最悪の場合、弁護士がいないため債権者に訴えられたり免責を得られなかったりと、大きな負担を強いられる可能性があります。
弁護士費用は一切かかりませんが、時間や手間を考えるとおすすめとはいえないため、弁護士に相談しましょう。
自己破産手続きをする5つのデメリット
自己破産は借金をゼロにできますが、メリットばかりではありません。今後の生活に影響を及ぼすデメリットもあるため、把握しておきましょう。
自己破産手続きのデメリットは下記5つです。
- ブラックリストに登録される
- 家や車などの財産が処分される
- 職業に制限がかかる
- 官報に載る
- 保証人の支払い義務はなくならない
ブラックリストに登録される
自己破産を行うとクレジットカード会社や銀行など、信用機関のブラックリストに約10年間登録されます。 しかし、ブラックリストというリストが実際にあるわけではありません。クレジット会社などが閲覧できる個人信用情報のことをブラックリストと呼んでいます。ブラックリストに登録されると、新しくローンや借り入れができなくなります。そのため、家や車の購入に制限がかかることを覚えておきましょう。
家や車などの財産が処分される
自己破産を行うと、基本的に持っている財産は処分されます。 財産価値の高い車や家は処分される対象ですが、自由財産と呼ばれる必要最低限の財産は処分対象外です。基本的に所有財産は処分の対象ですが、家具や給料が全て持っていかれることはありません。ただ、必要最低限の財産しか残らないため、今まで通りの生活はできないと思っておきましょう。
職業に制限がかかる
自己破産を行うと仕事ができなくなるわけではありませんが、職業に制限がかかります。 弁護士や司法書士などの士業や公務員など、国が定めた欠格事由に該当する職業は、法令によって退職させられます。また、廃棄物処理業者や警備員、生命保険募集人など一定の職業に就けなくなります。復権した際には職業制限が解除されますが、自己破産を行う前に就業できない職業について、調べておくとよいでしょう。
官報に載る
自己破産を行うと、国が発行している官報に住所と名前が掲載されます。 官報は一般の方も購入できるため、場合によっては自己破産したことが周囲に知られてしまう可能性があります。しかし、官報を購読している方はごく少数です。官報によって自己破産したことが知られる可能性は、限りなく低いと考えてよいでしょう。
保証人の支払い義務はなくならない
自己破産は破産者の借金支払い義務が免除されますが、債権者は保証人に支払いを請求できます。 自己破産を行う人にとって直接的な関係はありませんが、自分の影響によって保証人に迷惑がかかることを忘れないようにしましょう。自己破産手続きの費用に関するQ&A
自己破産手続きの費用について、よくある質問は下記の通りです。
- 自己破産の手続きを自分で進めると費用は安くなる?
- 生活保護を受給していると自己破産の手続き費用は安くなる?
- 自己破産の手続き費用は2回目だと安くなる?
自己破産を検討すると、必ずと言っていいほど出てくる質問ばかりです。自己破産を検討している人は、一度目を通してみましょう。
自己破産の手続きを自分で進めると費用は安くなる?
弁護士に払う費用がなくなるため、安くなります。 しかし、債権者に訴えられたり自己破産の予納金が多くなったりする可能性があるため、おすすめできません。最悪の場合、訴えられる可能性もあるため、弁護士に依頼するのが無難です。もし、個人で自己破産を検討している方は「JKAS」に無料相談をしてみましょう。専門家からアドバイスを受けられます。
生活保護を受給していると自己破産の手続き費用は安くなる?
生活保護受給者は自己破産の手続き費用が免除されます。 国が運営している司法支援センター「法テラス」では、弁護士費用の成功報酬や裁判所に支払う予納金が免除されます。しかし、一時的な生活保護受給者は費用の免除がされないため注意が必要です。
自己破産の手続き費用は2回目だと安くなる?
2回目でも自己破産の手続き費用は安くなりません。 むしろ高くなる可能性があります。裁判所や自己破産制度の変更がない限り、基本的に自己破産手続き費用は変わりません。しかし、2回目以降の自己破産は、1回目の自己破産より詳しい調査が行われます。そのため、管財事件として扱われやすくなってしまうため、裁判所にかかる費用が高くなりやすいです。
まとめ:自己破産の手続き費用が不安な方は相談してみましょう
自己破産の手続きは、裁判所にかかる費用と弁護士にかかる費用の2種類が存在します。自己破産の手続き費用相場は、裁判所に約3〜50万円、弁護士費用相場は約30~50万円です。
裁判所にかかる自己破産の手続き費用は安くならないため、弁護士にかかる費用を抑えるようにしましょう。
ただ、費用を安くするために自分で自己破産手続きを進めるのはおすすめできません。さまざまなトラブルが起きる可能性があるため、弁護士に依頼しましょう。
「JKAS」では全国59ヶ所に相談窓口(2022年6月10日時点)を設けており、無料で何度でも相談できます。弁護士へ依頼する前に相談してみることも可能です。自己破産の手続きを検討している方は、お気軽にご相談ください。