住宅ローンの借り換えでよくある後悔5選!得する条件やポイントも解説
住宅ローンの借り換えで後悔する方は、一定数存在します。住宅ローンの返済期間は長く完済までのゴールが見えづらいため、毎月の負担額を少しでも軽くしたいと考える方は多いです。
住宅ローン問題を解決する方法の一つが、住宅ローンの借り換えです。金利が下がるなどのメリットがあり、金利が下がれば毎月の支払額や総返済額を下げられます。
しかし、住宅ローンの借り換えは必ず成功するわけではなく、条件がそろわなければ失敗する例もあります。
本記事では、借り換えのよくある後悔と得する条件、借り換え先の住宅ローンの選び方を解説します。
得する条件を知らなければ、最適な選択はできません。住宅ローンにお困りの方、住宅ローンの借り換えを検討している方は、ぜひご覧ください。
目次
住宅ローンの借り換え後悔/失敗例5選
まずは、実際に借り換えを行った方の後悔例を見ていきましょう。失敗例から、自身に活かせる場合もあります。
失敗例は、次の5選をご紹介します。
- すぐに借り換えをしなかった
- 十分にシミュレーションせずに借り換え先を決めた
- 審査に通らなかった
- 変動金利のリスクを考慮していなかった
- 疾病特約が手薄になった
自身が借り換える際に、同じ失敗をしないよう参考にしてください。
すぐに借り換えをしなかった
SNSなどで調べると、住宅ローンをすぐに借り換えなかったことを後悔している方が多くいます。 住宅ローンの借り換えは返済期間が長く、借入残高が残っているほど効果が大きいです。実際にシミュレーションをして、検証します。なお、シミュレーションは下記サイトで行うと、借り換え手数料を合わせた金額が算出できるので便利です。
参考:住宅ローン借換えガイド| auじぶん銀行 (jibunbank.co.jp)
借り換えの条件は次の通りです。
- 毎月の返済額:15万円(ボーナス払いなし)
- 借入金額:4,800万円
- 借入時金利:1.65%
- 借り換え後の金利:0.475%
- 借入期間:35年
この条件で、5年後・10年後・15年後に借り換えたケースで比較してみましょう。
借入残高 | 毎月の返済額 | 軽減額の総額 | |
5年後の借り換え | 4,300万円 | 12.8万円 | 653万円 |
10年後の借り換え | 3,700万円 | 13.0万円 | 462万円 |
15年後の借り換え | 3,100万円 | 13.5万円 | 251万円 |
※金額は概算額です。
ご覧のように5年後の借り換え(返済期間残り30年)だと、約653万円の効果があります。10年後(返済期間残り25年)だと462万円、15年後(返済期間残り20年)には251万円と、その効果が薄くなってきます。
借り換えの効果を最大限にするポイントは「(借り換え後の)金利差」「残りの返済期間」です。
十分にシミュレーションせずに借り換え先を決めた
住宅ローンの借り換え後悔例2つ目は、借り換え先の金融機関を選ぶ際の失敗です。住宅ローンの借り換えは多くの金融機関で取り扱っているため、まずは条件シミュレーションで比較してみましょう。特に、ネット系の金融機関は借り換えも積極的に取り扱っており、適用金利も比較的低く設定されています。
借り換え時の適用金利の違いをシミュレーションで比較してみましょう。シミュレーション条件は次の通りです。
- ローン残高:3,000万円
- 返済期間残り:20年
適用金利 | 毎月の返済額 | 総返済額 | |
ネット銀行 | 0.45% | 13.0万円 | 3,140万円 |
地方銀行 | 0.8% | 13.5万円 | 3,250万円 |
※金利は参考値です
※数値は概算です
ご覧の通り毎月の返済額で5,000円、総返済額で110万円の差が出ました。なお、借り換えの際、事務手数料などの諸費用は金融機関によって異なるため、そちらも事前に確認しておきましょう。
審査に通らなかった
住宅ローン借り換え時の後悔3つ目は、「ローン審査が通らなかった」です。 借り換え時、住宅ローンを新しく組み直すため、ローン審査が行われます。この審査時に、既存の住宅ローンやクレジットカードの滞納など、金融事故の履歴があると借り換えできません。住宅ローンの借り換えは、月々の返済が困難になったために検討する方が多いです。しかし、すでに住宅ローンを延滞している場合は、住宅ローンの借り換えは難しくなります。そのため、もし既存の住宅ローンの返済がつらいときは、滞納する前に借り換えを検討しましょう。
変動金利のリスクを考慮していなかった
借り換え時の後悔で、金利変動のリスクについて考慮していなかった例を紹介します。住宅ローンの借り換え時には新しく住宅ローンを組み直すため、金利の種類を選びます。金利には、大きく分けて次の3つの種類があります。
- 変動金利
- 全期間固定金利
- 期間固定金利
一般的に一番安いのは変動金利で、逆に一番高いのが全期間固定金利だといわれています。全期間固定金利で住宅ローンを組んでいる方が変動金利に借り換えると、メリットが大きいです。
しかし、変動金利には名前の通り、金利変動のリスクがあります。固定金利から変動金利に借り換えをした直後は返済額が安くなりますが、将来的には支払額が上がるリスクにも注意しましょう。
変動金利を利用するべきか否かの目安の一つに、「住宅ローンの毎月返済額25%以上を貯蓄に回せるか」があります。返済期間が比較的短ければ金利変動リスクは抑えられますが、返済期間がまだ残っている場合は、慎重に検討しましょう。
疾病特約が手薄になった
住宅ローン借り換え時の後悔5つ目は、疾病特約が手薄になった例です。 借り換え時に住宅ローンは組み直しますが、団体信用生命保険(通称「団信」)も同時に入り直します。近年の団信は、特約である疾病保障が充実しているのが特徴です。がん保険や3大疾病保障、8大疾病保障など、各金融機関と保険会社で協力し、新商品を発売しています。
ただ、最初の住宅ローンで付けていた特約が、借り換え時には健康状態を理由に断られたケースもあります。
そもそも団信の加入が出来ない方は、原則借り換えができません。3大疾病特約などをつける場合には通常の審査基準より厳しくなり、健康状態によっては特約部分だけつけられない場合があります。
もし、あなたの住宅ローンにすでに疾病特約を付けている場合、健康状態によっては保障が手薄になってしまうケースがあるため、ご注意ください。
住宅ローンの借り換えで得する条件
住宅ローンの借り換えを行うべきかには、基準があります。 次の3つに該当する場合は、借り換えをおすすめします。- 借り換え後の金利差が1%以上
- 住宅ローンの残高が1,000万円以上
- 返済期間の残りが10年以上
住宅ローンの借り換えでは、月々の返済額を減らす代わりに返済期間の短縮も選べます。特に、定年退職後も住宅ローンが残るような場合では、返済期間の短縮を選ぶケースが多いです。なお、原則借り換え時に返済期間・借入額は増やせません。
また返済期間を短くする時に、借り換え後の借入期間が10年未満となると、適用要件を満たさなくなるため、住宅ローン控除が受けられなくなるので、注意が必要です。
後悔しない住宅ローンの借り換え先の選び方3選
適切な住宅ローンの借り換え先を選ぶには、選び方を知っている必要があります。後悔しない住宅ローンの借り換え先の選び方は、下記の3つです。
- 不満や改善点を明確にする
- 利用している金融機関に相談
- 専門家に相談する
選ぶうえで適用金利も重要な指標ですが、ここでは借り換え先を選択するヒントをご紹介します。
不満や改善点を明確にする
適切な住宅ローンの借り換え先を選択するには、不満や改善点を明確にしておきましょう。 不満は大きく分けて、次のようなことが挙げられます。- 金利
- 団信
- 金融機関の利便性
「金利」は月々の返済額と総返済額に直接関係してくるため、重要視する方が多いです。「団信」は住宅ローンに付いてくる生命保険を指します。基礎部分である生命保険はどの住宅ローンでも原則付いてきますが、疾病に対応する特約部分が異なるケースが多いです。
最近では疾病特約が充実してきているため、特約をつけるために借り換えをする方もいます。「金融機関の利便性」はメインバンクの変更やATM手数料、相談できる営業所が最寄りにないなど、実際に住宅ローンを使い始めて気付く方が多いです。
不満や希望改善点を明確にすると、借り換え先の住宅ローンを選ぶ際の基準になります。例えば、金利(毎月の支払い額)に不満があるのに、団信の手厚い住宅ローンに借り換えるなどのミスマッチが起きません。
利用している金融機関に相談
住宅ローンの借り換えをする前に、既存の金融機関に相談するのも有効です。 住宅ローンの借り換えを行うには、司法書士への報酬など、諸費用や借り換え先を選ぶ手間などのデメリットがあります。借り換えを実行する前に、既存の金融機関に借り換えを検討している旨を相談してみましょう。場合によっては、既存の適用金利を下げるなどの対応をしてもらえるケースがあります。この場合だと、手数料の負担もなく、手間も電話一本で済んでしまうことがほとんどです。
相談するときのコツは、他行の住宅ローン金利を調べることです。具体的な金融機関名、適用金利を担当者に話し、金利を下げてもらえるよう交渉しましょう。
金融機関としても、顧客なので逃がしたくない気持ちもあるでしょう。そのため、0.1%~0.2%ぐらいであれば、交渉の余地はあります。
専門家に相談する
住宅ローンの借り換えをする際には、専門家へ相談するのがおすすめです。 相談により、借り換えが必要なのか、どの借り換え先が最適なのかを判断できます。おすすめの相談先は次の2つです。
- 金融機関に相談
- 第三者の専門家へ相談
金融機関へ相談すると、既存の借入先からの提案と借り換え候補先からの提案を同時に受けられ、比較検討できます。各金融機関では自行で借入をしてもらえるように営業があるため、自身で情報を集めて判断が出来る方にはおすすめです。
第三者の専門家へ相談すると、中立な立場で最適な提案をしてくれます。広い視野で沢山の情報を元に判断をしたい方におすすめです。JKASでは、住宅ローンの借り換えを検討している方、支払いが苦しくなっている方向けに、無料相談を承っています。ぜひ、一度ご相談ください。
住宅ローンの借り換え以外の対処法5選
住宅ローン問題には、借り換え以外にも対処法が存在します。住宅ローンの借り換えをするほどではない方、もしくは事情により借り換えが難しい方は参考になる内容です。
住宅ローンの借り換え以外の対処法は、主に下記の5つです。
- 返済期間を延長する
- 元金据え置きにする
- 返済条件を見直す
- 物件を買い替える
- 物件を売却して賃貸に住み替える
住宅ローンの月々の返済がつらくなったときにも役立つ内容になっているので、参考にしてください。
返済期間を延長する
住宅ローンの返済がつらくなったとき、既存の金融機関に返済期間の延長の申し出が可能です。 返済期間が長くなれば支払総額は上がりますが、月々の返済額は下がります。金融機関の審査承認が必要なため、返済期間の延長は必ずしも認められるというわけではありません。勤務先や現在の年収、主債務者の年齢などが審査対象になります。
申請の手順は次の通りです。
- 既存借入先である金融機関に延長の希望を伝える
- 申請書に署名・捺印し提出
- 審査結果を待つ
- 返済期間変更(契約内容変更)契約を締結
必要な書類は金融機関により異なるため、返済期間の延長の申し出を受け付けてもらえるかも含めて、事前に相談しておきましょう。
元金据え置きにする
住宅ローンの返済がつらいときは、借入先の金融機関に元金据え置きの交渉をするのも1つの手段です。元金据え置きとは、決められた一定期間の返済を利息分のみにする方法です。元金据え置きにできれば、毎月の返済負担額が小さく済みます。元金据え置きの注意点は次の通りです。
- 利息の支払いは継続する
- 据え置くだけあって返済の免除ではない
- 手数料がかかる場合もある
- 元金据え置き終了後は返済期間が延び、毎月の返済額が高くなる
元金据え置きは、毎月の返済は苦しくなった方向けの緊急避難的な対処法です。決して支払いが免除されたり、総支払額が減ったりはしません。
病気や離職などの事情により、所定の基準以下の収入になったなど、やむを得ない事情が認められた場合のみ適用されます。手数料に関しては金融機関により異なるため、確認するようにしましょう。
返済条件を見直す
住宅ローンの返済がつらいときには、そもそもの返済条件を見直す手段もあります。 返済条件の見直しは次の4パターンがあります。- 返済期間の延長
- 元金据え置き
- 返済額の一定期間減額
- ボーナス返済分の見直し
ボーナス返済分見直しでは、ボーナス時の返済額を増減できます。いずれも、既存の借入先金融機関との相談と審査次第です。
返済条件の見直しについては「住宅ローンが返せないとどうなる?7つの対処法と体験談を紹介」で詳しく解説しています。
物件を買い替える
月々の返済額の軽減を考えている方は、物件(不動産)を買い替える方法もあります。 住宅ローンの借り換えや返済条件の変更は、借入額の軽減などの根本的な解決にはつながりません。物件の買い替えは現在の自宅を売却して既存の住宅ローンを全額返済し、新たに住宅ローンを組んで不動産を購入する方法です。
主な注意点としては、新たに住宅ローンを組むため、一定の収入や年齢など審査の承認を得る必要があるのと、住み替えの諸費用がかかる点が挙げられます。
物件を売却して賃貸に住み替える
新たな住宅ローンを組むことや、住宅に関する負担を少しでも抑えたい場合は、自宅を売却し賃貸に住み替える手もあります。賃貸物件は固定資産税や建物メンテナンス費用などの維持費が必要ないため、不動産を所有するよりも負担額は少なくなります。
所有する不動産を売却して住宅ローンの残債を一括返済し、生活を仕切り直したい方におすすめです。
不動産の所有には、転居がしにくい、維持費がかかるといったデメリットもあります。現在は中古不動産の流通市場も整備されてきており、住み替えも一般的になってきました。賃貸への住み替えは、一度考えておきたい対処法です。
まとめ:住宅ローンの借り換えを検討したら、まずは専門家に相談を
住宅ローンの借り換えには、後悔がつきものです。借り換え時の代表的な後悔には、下記のような例があります。
- すぐに借り換えをしなかった
- 十分にシミュレーションせずに借り換え先を決めた
- 審査に通らなかった
- 変動金利のリスクを考慮していなかった
- 疾病特約が手薄になった
本記事で紹介した得する条件や住宅ローンの借り換え先の選び方を知っていれば、適切に住宅ローンの借り換えが可能です。住宅ローンの借り換え以外の対処法もあるため、本記事を読んで把握しておきましょう。
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