住宅ローン返済がつらい!7つの対処法と注意点、実例を解説
住宅ローンは長期間に渡って支払っていくため、つらいと感じる方がいます。当初は無理のない返済計画で借り入れたとしても、計画通りにいかず、返済が苦しくなるケースも珍しくありません。
本人の病気や、転職、リストラや会社の倒産など、誰しも人生の中で経済的なピンチに直面する可能性があります。
そのような「まさか」のために、住宅ローン返済がつらい状況を放置するリスクと対処法、住宅ローン地獄を乗り越えた実例を解説します。住宅ローンの返済に一抹でもご不安があるようでしたら、ぜひ最後までお読みください。
目次
住宅ローン返済がつらい状況を放置するとどうなる?
住宅ローンの返済が滞った状態を放置すると、督促状が届き、最終的には競売にかけられて強制的に住宅を失います。
競売前に、一定期間返済が滞ると、「期限の利益」を喪失します。 「期限の利益」を喪失すると債務者は分割で支払う権利がなくなり、金融機関に住宅ローン残額を一括で返済しなければいけません。
なお、競売の落札価格でローン残債が支払えない場合は、引き続き借金として旧所有者が支払う必要があります。競売後に残債が払えないため、自己破産を選ぶ方も少なくありません。
住宅ローンが返済できなくなった後の流れは「住宅ローンが返せないとどうなる?7つの対処法と体験談を紹介」で、詳しく解説しています。
住宅ローン返済がつらい3つの理由
住宅ローンを借りるには、金融機関からの審査が必要です。審査の承認を得たうえで住宅ローンを借り入れられますが、借り受けた人の中には返済が途中でつらくなってくる方もいます。
住宅ローン返済がつらくなる主な理由は、下記の3つです。
- 返済計画に無理がある
- 住宅ローン以外の出費が多い
- 状況が変わった
ケース別に、内容をご紹介いたします。 現在、住宅ローン返済がつらいと感じている方は、確認しておきましょう。
返済計画に無理がある
1つ目が、そもそも購入時の返済計画に無理があるケースです。不動産の購入時に、 当初の予算を大幅に超過して住宅ローンを組んでしまうケース があります。
景気の好不況や会社の経営状態、自身の健康状態や家族の変化など、未来は予測できません。返済期間に多い35年ほどの長期となれば、なおさらです。
特に要注意なのが、年2回のボーナス時の支払額を多く設定する「ボーナス払い」です。ボーナス(賞与)は、会社の業績に応じた「特別」な報酬で、毎年必ずもらえる保証はありません。そのため、ボーナス受給を前提とした返済計画は、非常に危険です。
返済比率を抑え、ボーナスがなくても支払えるような資金計画にしましょう。
住宅ローン以外の出費が多い
住宅ローン返済がつらくなる理由の2つ目が、住宅ローン以外の出費が多い場合です。無駄遣いや浪費しているケースだけではありません。
たとえば、不動産を所有していると固定資産税等の租税、建物のメンテナンスコスト・修繕コストなどもかかってきます。
また、分譲の不動産は賃貸に比べると、部屋や敷地が広いケースが多くなります。部屋が広いほど、多くの照明やカーテン、家具などが必要です。駐車スペースに余裕があり、新しい自動車を購入してしまうケースもあります。
当の本人は無駄遣いをしている認識はなくても、日々の積み重ねでローンの支払いにつまずいてしまいます。状況が変わった
住宅ローンの返済がつらくなる3つ目の理由は、借入当時から状況が変わるケースです。大きく分けて2つの要因があります。
- 外的要因
- 自身の経済的要因
「外的要因」とは住宅ローンの金利変動による返済額の上昇や、マンションの経年劣化による修繕積立金の上昇、勤め先の倒産などです。 外的要因は本人の努力では回避が難しく、毎月の返済支払い額がギリギリだとすぐに返済が滞ってしまいます。
「自身の経済的要因」は、例えば子どもの教育費や、親の介護費用が増えた場合です。 事前に予測できる場合もありますが、突然お金が必要になるケースもあります。
いずれにせよ、ほとんどの方が普段通りの生活を送っており、借入当初はまさか自分が返済に窮するとは思っていなかった人たちばかりです。
そのため、現状は返済に困っていなくても、返済がつらくなるリスクを頭の片隅に入れておきましょう。
住宅ローン返済がつらいときにすべき対処法7選
住宅ローンの返済がつらいといっても、人によりさまざまな段階があります。これからの返済に不安があるのか、それとも現時点ですでに滞納が始まってしまっているのか、状況によって対処方法を変えましょう。
さまざまなケースに対応できるよう、対処法を下記の7つ解説いたします。
- 家計の見直し
- 住宅ローンの返済条件変更
- 住宅ローンの借り換え
- マイホーム借り上げ制度の利用
- 賃貸への住み替え
- 任意売却
- 債務整理
家計の見直し
手始めに行いやすいのが、家計の見直しです。入ってくる収入が少なくなったら、支出を抑えましょう。
家計の見直しといっても。普段の生活を制限し、 不自由な生活を送る必要はありません 。節約は一時的ではなく、長期間続けてこそ意味があります。ストレスを感じるのはよくありません。
今まで通りの生活をしながら、家計を見直して出費を省きましょう。特に、固定費の削減は効果があります。携帯電話を格安SIMに切り替えたり、光熱費・通信費を割安なサービスに切り替えたりする対策が有効でしょう。
その他に、住宅ローンには団体信用生命保険が含まれているため、既存の生命保険を解約するのも一つの手です。
また、家計の見直しの王道としては、家計簿を付けるのも効果的です。出費の内訳を把握して、貯蓄を意識すれば自然と節約が身につきます。
住宅ローンの返済条件変更
住宅ローンの返済が苦しくなったとき、借入先の金融機関に返済条件の変更を相談する方法もあります。
どの金融機関も必ず対応してくれるわけではありませんが、 債務者の事情に応じて対応してくれる場合があります。 変更する返済条件は返済額の増額・減額、借入期間の延長、金利タイプの変更などです。
適用される金利や返済期間が変更になれば、毎月の返済額負担額が軽くなります。返済条件を変更する方法は、返済遅延前の早い段階で金融機関に相談した場合のみ可能です。
返済が滞ってしまうと、金融機関からの個人の信用が落ちてしまい、返済条件の変更ができなくなる場合がほとんどです。
金融機関から残債の回収が難しいと判断されると、適用されている金利優遇がなくなり、最悪の場合、一括での返済を求められます(期限の利益の喪失)。
住宅ローンの借り換え
住宅ローンの返済がつらい時の対処法に、現在借りている金融機関から他の金融機関に借り換える方法があります。
自身の適用されている金利から試算をし、金利や条件を複数社比べてみると、よい借り換え先が見つかりやすいです。借り換えをした方が良い目安は、次の通りです。
- 金利差が1%以上
- 住宅ローンの残りの返済期間が10年以上ある
借り換えについては、うまくいくと数百万円以上の利息が軽減されることもあり、非常に効果的です。ただ、注意点もあります。
主な注意点は、次の通りです。
- 借り換えに費用がかかる
- 現在の住宅ローンを滞納していると借り換えができない
借り換えには抵当権登記を抹消、再設定するため、司法書士の費用や登録免許税などがかかります。登記費用は借入額(抵当権設定額)によって異なりますが、15万円から25万円ぐらいが相場です。
その他、既存の住宅ローンの返済が滞っていると、個人信用情報に履歴が残ってしまいます。審査が承認されず、借り換えができない場合があるため、注意しましょう。
マイホーム借り上げ制度の利用
もし、引っ越す予定があって空き家にできるなら、「マイホーム借り上げ制度」が使えます。 マイホーム借り上げ制度とは、空いた自宅を人に貸して家賃で住宅ローンを返済する公的な賃貸制度です。
一般社団法人「移住・住みかえ支援機構」(以下、JTI)が、国の住替支援保証業務に基づく保証を得て行っています。
通常の住宅ローンでは、借りている金融機関に内緒で人に貸し出しをすると、契約違反になってしまいます。しかし、正規の手順を踏んでマイホーム借り上げ制度を利用すれば、契約違反になりません。
マイホーム借り上げ制度の特徴は次の通りです。
- 最長で終身借り上げ
- 空室時の家賃保証あり
- 3年の定期借家契約なので、再び家に戻ることも可能
- 借主対応や家賃徴収などは全てJTIが代行
なお、本制度を利用するにはJTI提携ローンで移住・住みかえ型リバースモーゲージにする必要があります。また、原則50歳以上ではないと利用できないなど、各制限がありますのでご注意ください。
賃貸への住み替え
経済的な不安が当面解消できないようでしたら、ご自宅を売却して、賃貸住宅への住み替えをする対処法もあります。
賃貸住宅に住み替えれば、固定資産税や建物の維持メンテナンス代などを支払わなくてよいため、基本的には毎月の負担額が軽くなります。せっかく購入したマイホームですので、手放すのはつらいことかもしれません。しかし、早い段階で賃貸住宅へ住み替えれば、任意売却や競売になるより生活の再建はしやすくなります。
住宅ローンの返済が滞ってしまうと、個人信用情報に履歴が残ってしまいます。クレジットカードが新しく作れなくなったり、携帯電話の分割払いが利用できなくなったりするため、注意しましょう。
また、家の賃貸契約も保証会社に否認されてしまい、借りれない物件も出てきます。住宅ローンの滞納が続くと引っ越し費用もなくなるため、お金があるうちに早めに賃貸住宅に住み替えておきましょう。
任意売却
住宅ローンの返済が実際に滞り始めている方は、任意売却を検討しましょう。 任意売却とは、競売など第三者による強制執行で家を失う前に、自身の判断で家を売却する方法です。 通常では住宅ローンの残債を全額返済し、抵当権を抹消しないと不動産を売却できません。
しかし任意売却では、売却したお金で残債を返済できない(オーバーローン)状態でも売却可能です。任意売却を行う手順としては、まずは支払いが困難である旨を借入先の金融機関に相談し、任意売却の申し出をします。
金融機関などの債権者は、予想売却金額と残債額を比較し、どのくらいの借入額が残るか計算します。最終的に借入額が残ったとしても、債権者が売却を承認してくれれば、任意売却が可能です。
売却方法は通常と同じで、民間の不動産仲介会社により売却活動をしてもらい、買主が見つかれば契約できます。通常の売却と異なる点は「最終的な売却金額は売主ではなく債権者が決める」、「売却期間が決まっている」の2つです。
規定の期間内に売却できなかった場合は、競売に自動移行します。なお、任意売却が上手くいき売却できたとしても、残った債務は住み替え後も各債権者へ返していかなればなりません。
任意売却については、「なぜ任意売却で買い手がつかないのか?よくある5つの原因と対処法を解説」で詳しく解説しています。
債務整理
債務整理とは借入を減額・免除する手続きで、先程解説した「任意整理」も含まれます。債務整理の種類は次の4つです。
- 任意整理
- 個人再生
- 自己破産
- 特定調停
4つの債務整理の違いは、 借入額の減額幅と利用後のデメリット(ペナルティ)の大きさです。 共通するデメリットとして個人信用情報機関に記録が残り、クレジットカードやローンなどが一定期間利用できなくなります。
債務整理をする場合は弁護士や司法書士などの専門家を介して、債権者や裁判所に交渉・手続きをします。債務整理は専門的な知識が必要なため、一人で悩まず、早めに相談しましょう。
自己破産について詳しく知りたい方は「自己破産のやり方3選!流れや必要な費用・書類を分かりやすく解説」をご覧ください。
住宅ローン返済がつらい!それでもやってはいけない4つのこと
住宅ローンの返済がつらいとき、決してやってはいけないことがあります。返済に困ると、経済的にだけではなく、心理的にも追い込まれてしまうでしょう。そのため、極端な行動は問題を大きくしてしまう危険があります。
住宅ローン返済がつらいときでもやってはいけないことは、下記の4つです。
- そのまま放置する
- 他のローンを組む
- 勝手に賃貸に出す
- 独立・転職
そのまま放置する
放置は現実逃避以外の何物でもありません。住宅ローンを滞納すると、金融機関から「伺い」や「お願い」などの連絡が来ますが、無視し続けると連絡が来なくなります。
これは決して金融機関が回収を諦めたわけではありません。次の手を打つべく、着々と準備を進めています。
「伺い」「お願い」などの連絡が来なくなると、次は「通知」です。借入時の優遇金利が適用されなくなり金利が上がる旨の通知が来て、その後一括返済を求める通知が来ます。最終的に裁判所から競売決定の通知が届くと、逃げられません。
競売になってしまうと、本人(債務者)の意志は関係なくなり、落札者が現れると期限までに転居しなくてはいけません。仮に引っ越し代がなくても、強制的に退去させられてしまいます。
住宅ローンの返済に困った際、早い段階でしたら選択肢が残されています。 何もせず放置するのは、選択肢を減らして自身の立場を悪くするだけです。
住宅ローンの督促状を放置するリスクについて詳しく知りたい方は、「住宅ローンの催促状を放置するリスクと対処法3選」をご覧ください。
他のローンを組む
借入の返済が困った際に、他のローンを組んで返済する「自転車操業」もやってはいけない方法の一つです。
返済日に向けて、藁にもすがる気持ちで新たな借入をしているかもしれません。しかし、 一つの借入返済が困っている時点で、すでに返済計画は破綻しています。
将来確実に得られる収入が決まっていれば、一時的には良いのかもしれません。ただ基本的に借入先を増やすのは、問題を先送りにしているだけです。むしろ、毎月の返済額を大きくして、後戻りができなくなります。
できれば住宅ローンの返済が滞ってからではなく、滞る前に対処をした方が良いです。不安で焦っているときほど視野が狭くなっていますので、他のローンを組まずに専門家に相談してみましょう。
勝手に賃貸に出す
住宅ローンを借りて購入した不動産を、金融機関に黙って勝手に賃貸に出してはいけません。なぜなら、住宅ローンはその名の通り住む家の為のローンであり、収益を上げる目的ではないからです。
賃貸住宅を購入するために借りるのは、アパートローンなど別の金融商品です。そのため、 黙って賃貸に出したことが金融機関に知られた場合、一括返済を求められることもあります。
住宅ローンを活用した不動産投資は、金融機関に対して信頼の毀損となりますので注意しましょう。
独立・転職
住宅ローンの返済がつらくなると、収入を増やすために職を変える人もいますが、独立・転職もやってはいけない方法の一つです。
住宅ローンの返済に困った状態での独立や転職は、おすすめできません。 独立・転職すると、最初は思わぬ出費が必要になったり予想通りに稼げなかったりと、経済的に不安定になりがちです。
また、勤続年数が短いと、クレジットカードやローンなどが組めないなどのデメリットもあります。前向きな決断でしたら、好機につながるかもしれません。しかし事情に迫られてやむなく行う独立・転職は視野が狭くなっているため、誤った選択となる可能性があります。
ギリギリの生活を脱出!つらい住宅ローン地獄を乗り越えた2つの実例
最後に、住宅ローン返済に困った人がいかにその窮地を脱したか、実例を見てみましょう。紹介する実例は、下記の2つです。
- 転職による収入減少で住宅ローン返済がつらくなったケース
- 父の住宅ローンを肩代わりすることになり、返済がつらくなったケース
住宅ローンの返済に困るといっても、その理由は千差万別です。それぞれの事情を詳しく知ると自分に合った解決方法や考え方が見えてくるでしょう。特に現在進行形で住宅ローンの不安がある方は参考にしてください。
転職による収入減少で住宅ローン返済がつらくなったケース
Aさんは、子供が小学校に入る前にマンションを購入しました。ただ、そのマンションが大通り沿いで環境が悪く、一戸建てへの憧れもあったため、マンションを売却して一戸建てに買い替えます。
しばらくして、勤務先の会社の経営状態が悪くなり転職。しかし、転職後の職場環境に合わず、3ヶ月で退職しました。その後、再就職先が中々見つからず、収入減が続き、貯金も無くなってしまいます。
住宅ローンの支払いが困難になったため、AさんはJKASに相談しました。 話し合った結果、任意売却をして少しでも残債務を減らし、生活を立て直すことが大切だという結論になります。
家は無事売却でき、今までの住宅ローン返済額よりも低い賃料で、気に入った賃貸のお部屋が見つかりました。金銭的余裕に加え精神的余裕が出て、早めに相談してよかったという例です。
父の住宅ローンを肩代わりすることになり、返済がつらくなったケース
Bさんは、お父様が住宅ローンで購入された家に住んでいました。しかし、住宅ローン以外にも多額の借金が重なり、弁護士や不動産屋にも相談したものの解決策が見つからなかったため、Bさんがローンを肩代わりすることになってしまったのです。
経済的にも精神的にも追い詰められ、藁にもすがる思いでJKASに相談しました。 思わぬ解決策を提案されて驚いたそうですが、Bさん一家が望む方向で無事に解決に至りました。
このように、早めに相談すれば、解決方法はあります。他の実例が知りたい方は「解決事例」をご覧ください。
まとめ:住宅ローン返済がつらいときは早めに相談しましょう
住宅ローンの返済がつらいときの最善策は、とにかく早めに相談することです。支払いが滞って時間が経ってしまうと、取れる対策も限られてしまいます。
ローンの返済がつらい時の対処法は次の7つです。
- 家計の見直し
- ローンの返済条件変更
- ローンの借り換え
- 借り上げ制度の利用
- 賃貸への住み替え
- 任意売却
- 債務整理
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